【8月15日 時事通信社】北朝鮮が7月に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)に、ウクライナから流出した旧ソ連製エンジンの改良型が搭載されていた疑惑が浮上した。ウクライナは「エンジンもミサイル技術も北朝鮮に提供したことはない」(政府高官)と否定したが、親ロシア派との紛争で混乱が続く中、何者かがエンジンを闇市場に持ち込んだ可能性が出ている。
 米紙ニューヨーク・タイムズによると、ミサイル専門家らは、ウクライナ東部ドニプロ(旧ドニエプロペトロフスク)にある国営機械製造企業「ユージュマシュ」の工場が流出元とみている。ユージュマシュは旧ソ連時代の1944年設立。開発部門の「ユージュノエ設計局」と連携し、ソ連初の核ミサイルを製造したほか、ソ連の核戦略を担った多弾頭ICBM「SS18」を生産した。
 ユージュマシュは14日、「以前も現在も北朝鮮のミサイル開発に関わったことはない。(ウクライナ)独立以降、ミサイルは開発していない」と訴えた。しかし、2014年のウクライナ危機以降、ウクライナとロシアの関係が悪化する中、主な取引先だったロシアとの関係を絶たれ、ユージュマシュは経営難に陥っていたという情報がある。ミサイル専門家は、不満を抱く従業員らが倉庫に侵入し、エンジンを闇市場に売り払った可能性を指摘した。(c)時事通信社