文化や教養と言えば昔から書に親しみ、先人の残してくれた偉業に学ぶことが基本でした。
しかし、昨今は若者がすっかり活字離れを起こし書物から離れてしまい、良書は悉く絶版です。
逆に、読まずとも中身の知れた低俗で下らない内容の娯楽書物は書店にあふれ、おおよそ
学問とは縁のないコミックやトレンディな情報誌やハウツウ本が巷にあふれ、三月もすれば
時代後れの古紙と成るしか術の無い活字の貧困が世界に蔓延という次第です。
以下は貴重な文献を寄贈された京都市が大型ごみとして税金を費やして焼却処分したという
日本の文化の頽廃の深刻さを報じるネットニュースです。
余分ですが私が知っている限り、貴重な文献を旧帝大や公立図書館に寄贈しても、図書館では
司書によるNDC分類が追いつかず、惜しげも無くごみ収集車によって廃棄されているのを幾度
となく見てきました。 もし本当に貴重な文献をお持ちの方がおられたら大学や公立図書館には
寄贈せずネットオークションを運営する「もったいない本舗」などのオークションエージェンシーなどに
送料受け払い、買い取り代金支払い不要にて送本されることをお勧めいたします。
桑原武夫蔵書、遺族に無断で1万冊廃棄 京都市が謝罪
フランス文学者で元京都大教授、桑原武夫さん(1904~88年)の遺族から寄贈された蔵書約1万冊を、京都市が2015年に無断で廃棄していたことが、遺族側関係者などへの取材で分かった。利用実績が少なかったことから「保管の必要はない」と判断したという。市教委は判断が誤りだったと認め、遺族に謝罪した。
京都大人文科学研究所長などを務めた桑原さんは「ルソー研究」などで人文学に共同研究の手法を取り入れ、哲学者の梅原猛さんや故・鶴見俊輔さん、文化人類学者の故・梅棹忠夫さん、フランス文学者の故・多田道太郎さんらを育てた。戦後日本の知識人に大きな影響を与え、87年に文化勲章を受章した。
蔵書は、和漢洋の古典や文学、哲学、風俗など。学術的価値の高い一部は京都大などが保管しているが、市は名誉市民でもあった桑原さんの幅広い関心を物語る貴重なコレクションとして88年に寄贈を受けた。
市教委が遺族に伝えた報告によると、蔵書は当初、市国際交流会館(同市左京区)に書斎を再現した「桑原武夫記念室」で保管していた。2008年に新しく完成した右京中央図書館(同市右京区)に記念室を移した際、蔵書については市立図書館全体の図書と重複が多かったため、正式な登録をせずに旧右京図書館(同区)で保管。翌年に向島図書館(同市伏見区)の倉庫に移した。
その後、向島図書館も改修のため保管できなくなり、施設管理担当の職員が右京中央図書館の職員に相談。この際、蔵書に関する問い合わせが08年以降1件のみと活用されている状態でなかったことや「目録があれば対応できる」との判断から、遺族に相談せずに15年12月に廃棄した。
今年2月に一般利用者からの問い合わせで判明。市教委は3月、「先生の活動のもととなった貴重な蔵書を職員の認識不足で廃棄してしまった。取り返しのつかないことになり申し訳ない」と遺族に謝罪したという。
遺族の一人は「相談さえあれば他に受け入れ先を探せたかもしれない。『桑原武夫』という存在が忘れ去られたようで残念だ」と話している。
京都市教委は27日、蔵書の廃棄を了解したとして右京中央図書館副館長だった生涯学習部担当部長(57)を減給6カ月(10分の1)の懲戒処分にしたと発表した。【榊原雅晴】