最近の産業構造の激変にはとてもでは無いがついて行けませんね。 あれだけ好調であった
液晶のシャープが見る間に身売りという事態です。 まあ私の昔勤めていたNTTとかなんとか
いうインターネットに反対していた会社もあっと言う間にインターネットの下請けになり今や
斜陽産業ですからね。 以下はすっかり定着した産業界の下克上の熾烈さを警告する
数多のネットニュースです。
「次のシャープ」にならないために知っておくべき残酷な「ルール」
ダイヤモンド・オンライン 3月7日(月)11時0分配信
いよいよ決着の時を迎え、シャープ再建についての議論が連日メディアを賑わせている。「世界の亀山」と言われた液晶テレビの全盛期には、まさか10年も経たないうちにシャープが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入るなどということは想像もできなかっただろう。
圧倒的短期間に、絶頂期からどん底にまで落ち込む――そんなシャープを分析し、ある新しい「超・破壊的変化」の犠牲になった、と指摘する人物がいる。『ビッグバン・イノベーション』を発表した、ラリー・ダウンズとポール・F・ヌーネスの2人だ。
果たして、シャープが巻き込まれた「超・破壊的変化」の正体とは何なのか。そして、破滅を避けるためにできることはあるのか。
【詳細画像または表】
● ほんの数日で競争優位が消し飛ぶ世界で
アドレス帳、ビデオカメラ、ポケベル、腕時計、地図、書籍、トラベルゲーム、懐中電灯、固定電話、口述用テープレコーダー、キャッシュレジスター、ウォークマン、スケジュール帳、目覚まし時計、留守電、イエローページ、財布、鍵、旅行者用の外国語フレーズ集、トランジスタラジオ、携帯情報端末(PDA)、インダッシュ型カーナビ、リモコン、空港のチケットカウンター、新聞、雑誌、電話番号案内、旅行代理店に保険代理店、レストランガイドに電卓。
さて、これらの共通点は何だろうか。
それは、どれもビッグバン・イノベーションの犠牲となって姿を消したか、今まさに犠牲となりつつある製品やサービスであることだ。
ビッグバン・イノベーションとは「安定した事業を、ほんの数ヵ月か、時にはほんの数日で破壊する新たなタイプのイノベーション」である。
その速度とすさまじい破壊力を生み出すのは、次々に市場に投入される、よりよく、より安い破壊的な技術だ。この“すばらしい新世界”では、新製品や新サービスは市場に登場した時点で、価格、性能、カスタマイゼーションのすべてにおいて高い競争力を備えている。
爆発的な破壊力を持つ製品やサービスが登場する──ビッグバン・イノベーションが起きる──と、たちまち世界中の消費者の知るところとなる。ユビキタスで高速な(あるいは“ブロードバンド”の)コンピューティングネットワークや標準、全世界で展開する膨大な数のモバイル機器の為せる業だ。マーケティングを牽引するのは、もはや企業ではない。ユーザー自身だ。ソーシャルネットワークやレビューサイト、ミニブログ、その他の情報共有サイトを通じて、ユーザーは口コミ(とカスタマーサービス)に影響を与える。
破壊的な新製品やサービスとそのイノベーター企業は、従来の常識とはかけ離れた行動を展開し、熾烈な競争を繰り広げる家電やコンピューティング、通信などの技術集約型産業の競争ルールを書き換えてしまった。だが、コンピューティング革命が暮らしの隅々にまで浸透するのに伴い、破壊的威力を持つ製品やサービスは、それ以外のあらゆる産業でも登場しはじめた。
冒頭で挙げた製品やサービスに破滅的な打撃を与えた原因はどれも同じ──そう、「スマートフォン」である。コンピューティングと通信機能を備えたこのハイブリッドな端末には、小さなアプリを無数にインストールできる。アプリが小さくて済むのは、データ処理をクラウドコンピューティングで行うからだ。ハードウエア、ソフトウエア、分散コンピューティングの組み合わせが、古いものから最近開発されたばかりのものまで、またたく間にさまざまな機器や製品やサービスに取って代わった。
破壊的製品やサービスが登場すると、競合にはもはや打つ手がない。成熟産業のサプライチェーンが供給する製品は突然、陳腐化して輝きを失う。既存企業はたちまち打撃を受け、破綻の危機にさらされる。破壊的な製品やサービスの登場を、顧客よりも早く察知する術を身につけておかなければ、即ゲームオーバーだ。
既存企業と、彼らが入念に練り上げた戦略プランにとって、ビッグバン・イノベーションはまさに悪夢である。(『ビッグバン・イノベーション』i-iiiページより抜粋)
圧倒的短期間に、絶頂期からどん底にまで落ち込む――そんなシャープを分析し、ある新しい「超・破壊的変化」の犠牲になった、と指摘する人物がいる。『ビッグバン・イノベーション』を発表した、ラリー・ダウンズとポール・F・ヌーネスの2人だ。
果たして、シャープが巻き込まれた「超・破壊的変化」の正体とは何なのか。そして、破滅を避けるためにできることはあるのか。
【詳細画像または表】
● ほんの数日で競争優位が消し飛ぶ世界で
アドレス帳、ビデオカメラ、ポケベル、腕時計、地図、書籍、トラベルゲーム、懐中電灯、固定電話、口述用テープレコーダー、キャッシュレジスター、ウォークマン、スケジュール帳、目覚まし時計、留守電、イエローページ、財布、鍵、旅行者用の外国語フレーズ集、トランジスタラジオ、携帯情報端末(PDA)、インダッシュ型カーナビ、リモコン、空港のチケットカウンター、新聞、雑誌、電話番号案内、旅行代理店に保険代理店、レストランガイドに電卓。
さて、これらの共通点は何だろうか。
それは、どれもビッグバン・イノベーションの犠牲となって姿を消したか、今まさに犠牲となりつつある製品やサービスであることだ。
ビッグバン・イノベーションとは「安定した事業を、ほんの数ヵ月か、時にはほんの数日で破壊する新たなタイプのイノベーション」である。
その速度とすさまじい破壊力を生み出すのは、次々に市場に投入される、よりよく、より安い破壊的な技術だ。この“すばらしい新世界”では、新製品や新サービスは市場に登場した時点で、価格、性能、カスタマイゼーションのすべてにおいて高い競争力を備えている。
爆発的な破壊力を持つ製品やサービスが登場する──ビッグバン・イノベーションが起きる──と、たちまち世界中の消費者の知るところとなる。ユビキタスで高速な(あるいは“ブロードバンド”の)コンピューティングネットワークや標準、全世界で展開する膨大な数のモバイル機器の為せる業だ。マーケティングを牽引するのは、もはや企業ではない。ユーザー自身だ。ソーシャルネットワークやレビューサイト、ミニブログ、その他の情報共有サイトを通じて、ユーザーは口コミ(とカスタマーサービス)に影響を与える。
破壊的な新製品やサービスとそのイノベーター企業は、従来の常識とはかけ離れた行動を展開し、熾烈な競争を繰り広げる家電やコンピューティング、通信などの技術集約型産業の競争ルールを書き換えてしまった。だが、コンピューティング革命が暮らしの隅々にまで浸透するのに伴い、破壊的威力を持つ製品やサービスは、それ以外のあらゆる産業でも登場しはじめた。
冒頭で挙げた製品やサービスに破滅的な打撃を与えた原因はどれも同じ──そう、「スマートフォン」である。コンピューティングと通信機能を備えたこのハイブリッドな端末には、小さなアプリを無数にインストールできる。アプリが小さくて済むのは、データ処理をクラウドコンピューティングで行うからだ。ハードウエア、ソフトウエア、分散コンピューティングの組み合わせが、古いものから最近開発されたばかりのものまで、またたく間にさまざまな機器や製品やサービスに取って代わった。
破壊的製品やサービスが登場すると、競合にはもはや打つ手がない。成熟産業のサプライチェーンが供給する製品は突然、陳腐化して輝きを失う。既存企業はたちまち打撃を受け、破綻の危機にさらされる。破壊的な製品やサービスの登場を、顧客よりも早く察知する術を身につけておかなければ、即ゲームオーバーだ。
既存企業と、彼らが入念に練り上げた戦略プランにとって、ビッグバン・イノベーションはまさに悪夢である。(『ビッグバン・イノベーション』i-iiiページより抜粋)
- ● なぜシャープは、あれほど好調だった液晶テレビで敗れ去ったのか?
IoT(モノのインターネット)化が進行し、非IT分野にもムーアの法則が浸蝕していくいま、あらゆるものは倍々で進歩し、年々安くなる。そんな残酷なほどに変化のスピードを上げていく世界では、イノベーションを起こしつづけられない企業は追いぬかれて陳腐化され、すべてがすぐに「負債」と化すのだ。シャープが陥った苦境を、アジアの事例に詳しい2人はこう見る。
プレミアムな価格は、社会的、文化的ミーム(人から人へとコピーされる情報)のステイタスを反映する。iPadやプリウス、アンダーアーマー(スポーツ用品ブランド)を考えてみればわかりやすいだろう。破壊的製品と敗者の製品が設定する“価格の差”は、双方の“質の差”以上に大きいのだ。
その教訓が最も端的に現れたのが、競争の激しい薄型液晶テレビ市場だろう。かつて消費者は、最先端の大画面ディスプレイにプレミアムな価格を支払った。ところが、基本部品技術が進化すると、ハイエンドなブランド品と低価格な製品との差異を、消費者は見出せなくなった。どちらも同じサードパーティの同じ部品を用いているからである。そして、現在ではサムスンとLGが市場を独占し、シャープやソニー、パナソニックといった、長くこの業界に君臨してきた企業を追い落としたのである。
ソニーとパナソニックは生産縮小を余儀なくされたが、とりわけ悲惨なのがシャープである。2008年から2012年のあいだに、シャープの液晶テレビの売上げは39%も下落した。2012年に創立100周年を祝ったシャープは、その年の前半に株価が70%も暴落している。(同212ページ)
● 「次のシャープ」にならないための残酷なルール
では、どうすれば「次のシャープ」にならずに済むのか。そのルールとは、大企業であってもベンチャーのようにリーンな運営を採用することであり、何よりも、「自社のコア資産を負債化する前に売り払うこと」だという。
2人によると、その「資産」が意味するところは、「在庫」の処分にとどまらないという。「処分が必要なのは在庫だけではない。工場や設備、あるいは戦略上不要になり、市場の縮小に伴って価値を失う恐れのある資産も早急に処分しなければならない。顧客が次の破壊的製品やサービスに殺到すると、コア資産でさえ急速に価値を失い、容赦なく負債化する」(同251ページ)
からだ。 しかしながら、自社の資産については冷徹に再評価する必要がある。つい数ヵ月前か数週間前までは競合に勝つための強みだった資産も、もはや足枷になるからだ。その事実に気づくのが早ければ早いほど、資産を高く処分できる。
売却相手には、次のふたつが考えられる。ひとつは、タイミングを見極める能力に劣った同じ業界の競合であり、もうひとつは、購入した資産を新たな方法で活用する、別の業界の買い手である。後者は、手に入れた資産をうまく組み合わせ直して活用し、新たな破壊的製品かサービスを生み出す可能性がある。
これまで上場企業の最高財務責任者(CFO)の優劣は、顧客のニーズを満たすために必要となる、最適な資源の調達能力で判断されてきた。とはいえ、それらの資源を売却して、最大の利益をあげることに秀でたCFOはほとんどいない。だが、破壊的製品やサービスの短いライフスパンとビッグクランチの厳しい現実とを考えたとき、たとえ成功した市場実験であっても、最終的に純利益を生むかどうかを分けるのは、手元に残った資産を売却して最大の利益をあげられるCFOの能力かもしれない。(同252-253ページ)
つまりシャープの運命を分けたのは、あの液晶テレビの全盛期に、コア資産――それは堺工場だけではなく、亀山工場も含むかもしれない――の価値を冷徹に見極め、場合によっては、次なるイノベーションのために処分することだったのかもしれない。(構成:編集部 廣畑達也)
次回は、エアビーアンドビー(Airbnb)をもう少しで破滅に追いやるところだった「爆発的成功が首を絞める」事態ついて検証する。3月10日公開予定。ラリー・ダウンズ/ポール・F・ヌーネス/江口泰子