睡眠は健康の基本ですから、単に起きる時間を早めただけでは病きリスクが増大し儲かるのは
医者と葬儀屋だと言うのです。
まあいろいろな意見があるのでしょうが北欧でもてはやされる貴重な日照時間も温帯の中緯度
に位置する日本には寝苦しい夜に加えて早起きを強いられるだけで健康上のリスクが増大する
だけだという事の模様です。
夏時間が死を招く? 日本導入の影響は…
春先から秋口にかけて時計を1時間早めるサマータイム制度。日中の時間をより有効に活用することを目的に、北米、ヨーロッパ、オセアニアなどで導入されています。日本でも制度導入の議論が繰り返し行われていますが、睡眠医学の専門家は反対しています。サマータイム制度は健康にどのような影響を及ぼすのでしょうか。久留米大学の内村直尚教授に聞きました。【ジャーナリスト・村上和巳】
【動画】校閲がサマータイムでヒヤリ
◇繰り返し議論される日本での制度再導入
日本では第二次世界大戦後の連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で夏時刻法が制定され、1948年から51年までサマータイム制度が実施されていました。しかし、寝不足や労働強化につながるとの世論の反発を受けて取りやめになり、夏時刻法そのものもサンフランシスコ講和条約による主権回復後の52年4月に廃止されました。
その後、90年代半ばから、サマータイム制度の再導入が政治の場でも繰り返し議論されるようになりました。2007年には日本経団連が与党・自民党に対してサマータイム導入を提案したこともあります。これに対し、睡眠医学の専門家で構成する日本睡眠学会は、08年7月に公表した「サマータイム制度と睡眠」という報告書で、「サマータイムは国民の健康に及ぼす問題が大きい」として再導入に反対しました。
◇55年間で睡眠時間が1時間減
日本睡眠学会が主張する「国民の健康に及ぼす影響」とは、簡単に言ってしまえば、国民全体の睡眠不足を加速させるために生じるものです。
ここで、日本人の睡眠状況をみてみましょう。NHK放送文化研究所が行った2015年の「国民生活時間調査」によると、10歳以上の日本人の平均睡眠時間は平日で7時間15分です。数字だけを見れば、十分な睡眠時間が確保されているように思えますが、1960年の調査では平日の平均睡眠時間は8時間13分ですから、過去55年間で約1時間減少しています。総務省の国民生活基本調査によると、10歳以上の日本人が22時以降も起きている割合は1960年の32%に対し、2010年では85%です。夜型の人が増えていることが分かります。
◇日本は世界2位の睡眠不足国
さらに経済協力開発機構(OECD)が2005年に行った15歳以上の睡眠時間調査では、調査対象となった国の中で睡眠時間が最も短いのは韓国で、日本は第2位。欧米の主要各国と比べて、日本人は平均睡眠時間が30分以上短いという結果が出ています。
このような状況でサマータイム制度を導入した場合、どのようなことが起こるでしょうか? 社会人の出勤時間、学生の登校時間も当然1時間早まります。これは就寝時間を1時間早めることができれば何も問題はありません。ところが、就寝時間の1時間繰り上げを習慣づけるのは容易ではなく、睡眠不足に拍車をかけることになるでしょう。
◇サマータイムが原因で心筋梗塞が増加
睡眠不足は肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のほか、うつ病の増加をもたらすことが数々の研究報告で既に明らかになっています。そして、サマータイム制度についてもスウェーデンから2008年に衝撃的な研究結果が報告されています。
スウェーデンのカロリンスカ研究所が、急性心筋梗塞(こうそく)の全国疾病登録データ(1987~2006年)から、サマータイム制度による時刻変更前後の平日について、急性心筋梗塞発症の頻度の比較を行ったところ、サマータイム開始直後の3日間に発症リスクが統計学的に有意に増加していたのです。1週間平均ではリスクは5%高まり、逆にサマータイムが終わった直後には1週間平均でリスクが1.5%低下したのです。これはサマータイム移行時に睡眠時間が1時間減少し、終了時には1時間増えることが原因と考えられています。
◇健康増進のためなら社会の大改革が必要
それでもなおサマータイム制度を導入するというのならば、国を挙げてより早い時間に就寝する運動を推進しなければ意味がありません。このためには労働時間、とりわけ残業時間の短縮だけでは不十分です。例えば夜間営業している店舗の照明が放つ光は、ヒトに対して覚醒効果を与えるので睡眠の大きな妨げになります。行政指導や法令で店舗の夜間営業時間を制限するなどの対応が必要です。
睡眠の科学、社会環境などを総合的に考慮しても、サマータイム制度導入に意味があるとは、私には到底思えません。
【動画】校閲がサマータイムでヒヤリ
◇繰り返し議論される日本での制度再導入
日本では第二次世界大戦後の連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で夏時刻法が制定され、1948年から51年までサマータイム制度が実施されていました。しかし、寝不足や労働強化につながるとの世論の反発を受けて取りやめになり、夏時刻法そのものもサンフランシスコ講和条約による主権回復後の52年4月に廃止されました。
その後、90年代半ばから、サマータイム制度の再導入が政治の場でも繰り返し議論されるようになりました。2007年には日本経団連が与党・自民党に対してサマータイム導入を提案したこともあります。これに対し、睡眠医学の専門家で構成する日本睡眠学会は、08年7月に公表した「サマータイム制度と睡眠」という報告書で、「サマータイムは国民の健康に及ぼす問題が大きい」として再導入に反対しました。
◇55年間で睡眠時間が1時間減
日本睡眠学会が主張する「国民の健康に及ぼす影響」とは、簡単に言ってしまえば、国民全体の睡眠不足を加速させるために生じるものです。
ここで、日本人の睡眠状況をみてみましょう。NHK放送文化研究所が行った2015年の「国民生活時間調査」によると、10歳以上の日本人の平均睡眠時間は平日で7時間15分です。数字だけを見れば、十分な睡眠時間が確保されているように思えますが、1960年の調査では平日の平均睡眠時間は8時間13分ですから、過去55年間で約1時間減少しています。総務省の国民生活基本調査によると、10歳以上の日本人が22時以降も起きている割合は1960年の32%に対し、2010年では85%です。夜型の人が増えていることが分かります。
◇日本は世界2位の睡眠不足国
さらに経済協力開発機構(OECD)が2005年に行った15歳以上の睡眠時間調査では、調査対象となった国の中で睡眠時間が最も短いのは韓国で、日本は第2位。欧米の主要各国と比べて、日本人は平均睡眠時間が30分以上短いという結果が出ています。
このような状況でサマータイム制度を導入した場合、どのようなことが起こるでしょうか? 社会人の出勤時間、学生の登校時間も当然1時間早まります。これは就寝時間を1時間早めることができれば何も問題はありません。ところが、就寝時間の1時間繰り上げを習慣づけるのは容易ではなく、睡眠不足に拍車をかけることになるでしょう。
◇サマータイムが原因で心筋梗塞が増加
睡眠不足は肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のほか、うつ病の増加をもたらすことが数々の研究報告で既に明らかになっています。そして、サマータイム制度についてもスウェーデンから2008年に衝撃的な研究結果が報告されています。
スウェーデンのカロリンスカ研究所が、急性心筋梗塞(こうそく)の全国疾病登録データ(1987~2006年)から、サマータイム制度による時刻変更前後の平日について、急性心筋梗塞発症の頻度の比較を行ったところ、サマータイム開始直後の3日間に発症リスクが統計学的に有意に増加していたのです。1週間平均ではリスクは5%高まり、逆にサマータイムが終わった直後には1週間平均でリスクが1.5%低下したのです。これはサマータイム移行時に睡眠時間が1時間減少し、終了時には1時間増えることが原因と考えられています。
◇健康増進のためなら社会の大改革が必要
それでもなおサマータイム制度を導入するというのならば、国を挙げてより早い時間に就寝する運動を推進しなければ意味がありません。このためには労働時間、とりわけ残業時間の短縮だけでは不十分です。例えば夜間営業している店舗の照明が放つ光は、ヒトに対して覚醒効果を与えるので睡眠の大きな妨げになります。行政指導や法令で店舗の夜間営業時間を制限するなどの対応が必要です。
睡眠の科学、社会環境などを総合的に考慮しても、サマータイム制度導入に意味があるとは、私には到底思えません。
出典:日本睡眠学会