現在の日本の総家屋に締める空き家の比率は約14%、今後の推移ですが確実に言えることは
少子高齢化と人口の減少に加えて供給過剰が影響して空き家が激増すると言うのです。
2050年に予想される人口の減少が2004年から約3300万人になりしかも供給過剰が
現在のペースで続くと2040年度の予想される空き家率は43%に達すると言うのです。
特に深刻なのは都市部で60%を越える空き家率となりもはやゴーストタウンと言わなければ
ならない事態が予想されると言うのです。
事態が深刻化する前に対策が欲しいところですが問題は予想される各地の大震災、
当然首都直下型地震や南海トラフ地震に京都や名古屋や中央構造線で起きる地震を考慮すると
もしかしたらこれぐらいのペースで空き家が増加すれば結局震災による大量家屋の喪失を
ちょうど上手く補うことになるのかもしれません。 もちろんもし原子力発電所が第二、第三の
福島原発事故となれば全ての住宅は放棄されて国民は世界に難民となって散り散りとなり
国土は数百年間もしくは数千年間放棄されざるを得ないという事になります。
下は、いろいろな数値をいじくり無用なリフオーム対策を弄して一儲けを企む悪質な
ネットニュースです。
ゴーストタウンがあちこちに? 空き家が蝕む日本の未来
不動産コンサルタント 長嶋 修
2015年12月18日 05時20分
かつて犯罪が多発したニューヨークで「割れ窓理論」がさかんに言われた。割れた窓をそのままにしておくと、それが無関心の象徴となり、犯罪が多発するというものだ。放置された空き家は、都会の「割れ窓」そのものだ。空き家率が30%を超えると治安が悪くなると言われ、コミュニティーはやがて崩壊する。人口減少が続く日本で、空き家は今後も増え続けることが予想される。今年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)」が全面施行されたが、それだけでは間に合いそうにない。
都会でも問題化する空き家
- Image may be NSFW.
Clik here to view.放置され、解体されることになった空き家。自治体の担当者が行政代執行宣言を読み上げている - #rect-l{position:relative;left:-5px}
最近、通勤や通学の途中で空き家を見かけたことはありませんか。家の近くに空き家があるという人もいるかもしれません。管理する人はおらず、窓は割れ、家は傾き、雑草は伸び放題。美観を損ねるだけでなく倒壊の危険すらある建物も少なくありません。
例えば、山梨県の場合、住宅数39万8300戸に対して空き家は8万900戸と空き家率は20%を超えていますし、和歌山は18%弱です。空き家は地方だけの問題ではありません。東京都中央区の持ち家マンションの空室率は34%。持ち家マンションに限って言えば、3件に1件が空き家です。足立区では老朽化が原因で倒壊の恐れがある建物が1700件以上あります。空き家は都会の問題でもあるのです。
私の周囲にも、空き家を抱えて処分に困っている人がたくさんいます。ある友人は、親が住んでいた実家を数年そのままにしていますが「処分すると思い出が消えてしまうようで」と言い、定期的にポストまわりの整理や建物の点検、空気の入れ替えなどのためにかつての実家まで通っているようです。
別の友人は九州のとある地域にかつて親が住んでいた空き家を抱えていますが、いくら安くしても売れないといいます。そうこうしているうちに建物はどんどん傷み、ますます処分しづらいものになっていきます。
私が創業した個人向けの総合不動産コンサルティング会社「さくら事務所」にも、空き家に関する相談が多数あります。相続した親族同士で、不動産を含めた財産分与で 揉 めて先に進まないケースをはじめ、様々な理由で空き家を処分できない事情を抱えている方がいらっしゃるのです。
住宅は大幅な供給過剰
日本の住宅はすでに「飽和状態」をはるかに通り越し、大幅な余剰となっていることが明らかになっています。2014年7月に総務省が公表した「平成25年(13年)住宅・土地統計調査」(速報集計)によれば、我が国では、13年10月1日時点での総住宅数が6063万戸と、5年前に比べて305万戸増加した一方で、820万戸の空き家を抱えていることが分かりました。
総住宅数に占める割合で見ると、空き家率は13.5%にも上っており、空き家数、空き家率ともに過去最高となっています。この調査は5年ごとに行われており、前回(08年)の調査時から実に64万戸の空き家が生まれました。
ドイツでは空き家率は1%程度、イギリスでは3~4%程度です。諸外国と比べると、日本の空き家の多さ、比率の高さは突出していることが分かります。
このような問題を抱える我が国においては、残念ながら、今後も空き家の数は増加します。しかもそのペースは、これまで以上に速くなることが予想されます。理由は大きく分けて2つあります。
ひとつは「需要減」。国土交通省がとりまとめている「国土の長期展望」によれば、日本の総人口は50年には9515万人と、ピークだった04年と比べて 約3300万人減少し、高齢化率は約20%から約40%に倍増すると推計されています。
もうひとつ「過剰供給」。野村総合研究所が09年に行ったシミュレーション(下の図を参照)によれば、03年度(117万戸)のペースで新築住宅を造り続けた場合、40年度の空き家率は約43%にも上ると試算されています。ペースをその半分の約59万戸に落として試算しても空き家率は約35%。約40万戸とさらに落としても約26%に達すると試算されています。
つまり、人口が減少局面にある日本で、現在、年間90~100万戸で推移する新築着工戸数は、明らかに「造り過ぎ」なのです。
空き家が生み出す負の連鎖
空き家は、いわゆる「外部不経済」をもたらします。国土交通省の「土地問題に関する国民の意識調査」(09年4月)によると、日頃身近に感じる土地問題の筆頭に「空き家・空き地や閉鎖された店舗などが目立つこと」が挙げられています(41.4%)。
放置された空き家は、「治安の低下」や「犯罪の発生」を誘発し、「防災機能低下」、雑草繁茂や病害虫の発生等の「公衆衛生の低下」、さらには「景観の悪化」や「地域イメージの低下」など、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしかねません。そして、こうした外部不経済は、結果として、「住宅価値の低下」と「街の価値の低下」につながり、経済・社会問題を生み出すことになります。
ところで、空き家を放置している所有者は、いったい、どういった意向を持っているのでしょうか。株式会社価値総合研究所の「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート」によれば、空き家を持つ人のうち、売却や賃貸等を検討しているのは24%に過ぎず、71%の人は特に何もせずに所有しているだけということが分かっています。その中には、空き家を管理すらせず放置しているという人も12.8%います。
空き家は一戸建てが74.1%と大半を占めます。立地を見ると、農山漁村地域や郊外よりも市街地や市街地周辺のほうが多く、60.3%となっています。古くからの市街地や郊外で空き家が発生する傾向が高いのは、これまで人が住んでいた家が相続の問題などで適正な管理がなされなくなり、空き家になるというパターンが多いということと関係していると考えられます。
実際のところ、空き家問題は何も地方に限ったことではありません。放置された空き家が「崩れる」「放火など犯罪の温床になる」、ひいては「街の価値を 毀損(きそん)する」といった懸念が、東京23区内でも広がってきています。
こうした事態に対し、これまで多くの自治体が空き家対策に関する条例を設け、対応にあたってきました。しかし、空き家はあくまで個人財産なので、自治体が改善を求めたり処分をしたりということには踏み込みにくい面があります。また、登記されていない空き家や、相続後に登記が行われず所有者が特定できない空き家も少なくなく、解決に向けての大きな障壁となっています。
- Image may be NSFW.
Clik here to view.天井が抜け落ち、荒れ放題となった空き家
こうした事態を受けて、昨年11月に「空き家対策法」が成立し、今年5月に全面施行されました。この法律は、税制措置などによって空き家対策を後押しし、自治体が空き家対策の計画を策定したり、情報収集したりする流れを作るのが目的です。
具体的には、本法により防犯、景観等の観点から認定された「特定空き家」について、固定資産税台帳を参照して所有者名義を簡単に特定できるようにし、空き家への立ち入り調査を行えるようにしました。このほか、修繕や撤去を命令、さらに行政代執行で建物を解体、その費用を所有者に請求できるようにもしました。
また、税制面における空き家対策も強化されました。15年度税制改正では、空き家を放置することによる固定資産税の軽減措置の見直しが盛り込まれました。これから多くの自治体で「空き家等対策計画」が定められ、前述した具体策が行われることになってくるでしょう。そうなると、空き家が、大量に市場に売りに出される可能性も考えられます。
いずれにせよこのままでは、全国で既に800万戸以上ある空き家が、今後もさらに増えることは避けられそうにありません。このことは、「マイホーム購入で立地の選択を誤ると住宅の価値が大きく落ちる」「空き家の増加で地域の快適性が損なわれる」「犯罪が増加する」といった負のスパイラルに巻き込まれる可能性が増すことを意味しています。
四つの対策で空き家を減らせ
- Image may be NSFW.
Clik here to view.老朽化した空き家の解体作業
それでは、私たち、あるいは国や自治体は、どういった手を打つ必要があるでしょうか。以下に具体的な提言を行いたいと思います。
1.空き家課税
前述の「空き家対策法」は、820万戸全ての空き家に対応するものではありません。倒壊のおそれがある、犯罪の温床になりかねないなど、とりわけ危険だと認識される一部の空き家を「特定空き家」と認定して、必要な手を打つだけです。
また、解体費を所有者に請求できるといっても、これまでの例では順調に解体費が回収できることはまれです。つまり、空き家を解体するには税金を投入する覚悟が必要だということです。
そこで、「空き家課税」の採用を提案します。例えば、「3年以上何もせずに放置した空き家に対して課税を行う」というような内容が考えられます。
2.「住宅総量目安」あるいは「住宅供給目標」の設定
空き家という「結果」に対処するだけでなく、その「原因」である「住宅の過剰供給」にも手をつける必要があるでしょう。提案したいのは、「住宅総量目安」あるいは「住宅供給目標」の設定です。
西欧では、多くの国で10年間の「住宅需要」「住宅建設見込み」を算出しています。世帯数に対して今後10年間にどれだけの住宅需要があるか、あるいはどれだけの住宅建設が見込まれるかを表す指標をみると、低いほうからスウェーデンの5.6%、イギリスの7.2%、イタリアの8.3%となっており、その他の国も、多くが10%台を見込んでいます。
仮に、我が国がこれと同じものを設定し、イギリスと同じ7.2%とした場合、年間着工数は35万9000戸、イタリアと同じ8.3%なら41万7000戸、10%にするなら49万9000戸を建設すれば済むことになります。ここからも、現在の住宅着工数(年間90~100万戸)がいかに多いかが分かると思います。
多くの不動産業界関係者や識者の中にも、こうした実態に気づいている人は本当に多くいます。しかし、いまだ具体策がとられる様子はありません。
国土交通省は、中古住宅やリフォーム市場の育成にようやく力を入れ始めたものの、その一方で、相変わらず新築住宅の建設も促進しています。
現在の安倍政権はアベノミクスの旗印のもと、景気浮揚を第一に考えています。17年4月には消費税の税率10%引き上げが待っており、景気対策の重要な柱である住宅建設をやめられる状況にはありません。税制優遇等で新築住宅建設を促進する一方で、税金を投入して空き家対策を行っているというのが現在の住宅市場の構図です。全体として整合性がとれていないと言わざるを得ません。
経済協力開発機構(OECD)に加盟しているような先進国では、ほぼすべての国が「住宅総量目安」や「住宅供給目標」といった指標を持っています。世帯数の現状と見通し、住宅数とその質がおよそ把握できるため、5年、10年の間にどのくらい新築を造ればよいかといった目安を立てるのはそう難しいことではありません。その目安に合わせて、税制や金融をコントロールすればよいのです。
日本には、こうした目安が一切なく、「景気を冷やしてはいけない」という一点だけを見て、新築住宅促進政策が過剰に行われてきたという経緯があります。住宅総量を管理する概念や方策を持たない状況のなかでは、空き家が増えるのも当然ではないでしょうか。
3.経済波及効果の判断は冷静に
我が国では、総務省の「産業関連表」を用いて「新築住宅建設の経済波及効果は2.11倍で、輸出の2.22倍に次いで大きい」ことを示し、かねてから景気対策の道具として利用してきた経緯があります。
しかし、人口減少、特に40歳以下の若い年齢層の減少が顕著な我が国において、新築が造られれば、同時に、それを上回る空き家が生まれることは容易に想像できます。そうした対策費も含めた上で、市場全体の生産誘発効果(経済波及効果)を見ていく必要があるでしょう。
住宅の新築は本当にそれほどの効果があるのでしょうか。人口も世帯数も減少する局面では、新築が1つ建てられれば、それ以上に空き家が生まれることになります。この空き家が放置されれば、前述したとおり倒壊や犯罪の温床となるリスクが生まれ、景観を損ね、街の価値を毀損することにつながります。
こうした外部不経済がもたらすマイナス部分、各自治体で行う空き家対策費も膨大なことを差し引いて考えてみると、その経済波及効果は本当に2倍以上になっているのか、疑問が残ります。
4.中古住宅の「資産効果」に目を向ける
中古住宅流通は、取引価格そのものが個人間取引であるため、GDPにカウントされません。しかし、もし日本の中古住宅が、築年数が経過してもその価値を維持することができていれば、それに応じたいわゆる「資産効果」により消費はより活発になっていたでしょうし、担保価値上昇によって融資枠が生まれ、投資も相当程度増大していたはずです。
つまり、中古住宅の取引を活性化すれば、「個人に資産を持たせることによる資産効果(内需経済誘発効果)」が生まれるはずなのです。
アメリカやイギリスなどでは、1990年代を通して株式市場が高騰を続けました。2000年にいったん下落トレンドに転じ、03年まで調整局面にあったにもかかわらず、住宅価格は一貫して好調を続けたばかりか、上昇率はさらに高まったという経緯がありました。
株価の調整局面当初は、株価下落が消費に与える逆資産効果が懸念されていましたが、この頃から住宅の資産効果が株式にとって代わって経済を下支えしたとみられています。
このことは、住宅を長く所有することのメリットが働いた可能性があることを示しているとも考えられます。もっとも、この後、資産バブルに突入、リーマン・ショックへと続きましたが、行き過ぎればどのような市場でもこうしたことは起きます。
大事なことは、「中古住宅市場を洗練させること」です。そして、そのカギは金融機関が握っているのです。国はすでに、中古住宅市場・リフォーム市場を育成しようと各種政策を打ち出しています。こうした方策と一体となって、日本の中古住宅市場やリフォーム市場がさらに成長していくことを強く期待します。
プロフィル
長嶋修( ながしま・おさむ)
不動産デベロッパーを経て1999年に個人向け総合不動産コンサルティング会社「株式会社さくら事務所」を設立。現在は同社会長。2008年、住宅診断の普及と公認資格制度の運営を目指してNPO法人「日本ホームインスペクターズ協会」を設立し、初代理事長に就任した。『「マイホームの常識」にだまされるな! 知らないと損する新常識80』など著書多数。