こんにちはゆかりです。

ベンゾジアゼピン系抗不安薬や睡眠薬の多くは、長期に服用すると効き目が落ちる耐性が 生じることや、薬物依存に至る例が多いことが以前から知られています。
しかし薬物依存が強く、効果的にやめる方法がありませんでした。製薬会社からは、薬をたくさん使い、やめにくくする研究には、人、物、金の支援をえられます。逆にやめさせるほうは、圧力等を受ける可能性がありますが、そうゆうことには屈せずやることにしました。![]()
時間をかけて、すこしずつ減らしていくのが基本になります。今回下記の優秀な手引書がありますので紹介させていただきます。![]()
英国ニューカッスル大神経科学研究所のヘザー・アシュトン教授が、ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱専門クリニックで多くの患者を減薬、断薬させた経験をもとに、段階的な減薬法などをまとめた手引書。![]()
薬やめる手引書、無料公開
離脱症状を抑えながら、段階的に薬をやめる手引書として世界中で使われるのが、インターネットで無料公開されている「アシュトンマニュアル」だ。日本語版は今年8月、離脱症状に苦しんだ経験がある近畿地方の田中涼さん(41)らが、協力医の監修を得て完成させ、公開から2か月間のダウンロード数は約1万7000件に上った。
田中さんは「離脱症状の苦しさや持続期間について不勉強な医師が多い。そもそも薬物依存に陥るような処方をしてはいけない。医療界は早急に対策を講じる必要がある」と話す。
公開 アシュトンマニュアル
英国ニューカッスル大神経科学研究所のヘザー・アシュトン教授が、ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱専門クリニックで多くの患者を減薬、断薬させた経験をもとに、段階的な減薬法などをまとめた手引書。日本語版を含む10か国語に翻訳されています。 英文(http://www.benzo.org.uk/manual/index.htm)で公開されている。 日本語版 手引書はこちら |
(2012年11月20日 読売新聞)
抗不安薬依存 深刻に
抗不安薬や睡眠薬を長期に処方された患者が、薬物依存に陥り、薬を減らしたりやめたりする際の離脱症状に苦しむケースが問題になっている。日本は欧米に比べ、抗不安薬や睡眠薬の処方が際だって多い。漫然とした処方をやめようとの動きも始まったが、薬物偏重の背景には、患者の訴えをきちんと聞くことのできない日本の精神科医療の問題がある。医師が漫然処方/使用量 米の6倍
心療内科医が引きこもりの16歳の若者に初診で出した薬の説明書。抗うつ薬に加え、抗不安薬・睡眠薬が3種類も処方されている。この若者はその後、処方薬の薬物依存に陥った
ストレスによる過呼吸などの症状から、不安障害と診断された近畿地方の50歳代の会社員男性。医師に抗不安薬を処方され、5年前に飲み始めた。だが徐々に薬の効果は薄れ、不安や不眠が増し、昨年には会社を休職せざるを得なくなった。
インターネットなどで自分で調べた情報から「症状の悪化は長期服薬のせいではないか」と疑い、入院して減薬に取り組んだが、途中からひどい頭痛に襲われた。「薬を急にやめた影響では」と医師に尋ねても、医師は「原因は不明」との答え。薬をやめて1年たった今も、頭痛がひどく復職できない。「いつまで続くのか。本当につらい」と話す。
男性が飲んでいた薬は、ベンゾジアゼピン系(ベンゾ系)薬剤といい、抗不安薬や睡眠薬として広く用いられている。だがこの薬は、長期に使うと抑うつや注意力低下などの副作用が表れやすい。さらに、用量を守って使っていても薬物依存(常用量依存)に陥り、薬を急に減らしたりやめたりすると、不安の増大やパニック発作、頭痛、筋硬直、不眠などの離脱症状が表れることがある。
欧米では、治療指針で処方期間を4週間以内とするなど、早くから対策が講じられた。英国ではベンゾ系薬剤をやめるための専門施設もある。
ところが日本では、多くの精神科医や内科医が「飲み続けても安全」と、漫然と使い続けた。国連の国際麻薬統制委員会の2010年報告では、日本はベンゾ系睡眠薬の使用量が突出して多く、同一人口当たりの使用量は米国の約6倍だ。10年以上の服用者も多く、常用量依存患者は相当数に上ると見られる。
学会、治療指針でようやく戒め
専門学会も重い腰を上げた。日本うつ病学会は、7月に公表したうつ病治療指針で、ベンゾ系薬剤の長期処方について「乱用や依存形成に注意し、安易な長期処方は避けることが望ましい」などと戒める記述を繰り返した。神庭重信・同学会理事長(九大精神科神経科教授)は「日本のベンゾ系薬剤の使用状況は明らかに過剰だ。来年の治療指針改訂では、睡眠薬の使い方について踏み込んだ記述をしたい」と語る。
医療現場での取り組みも一部で始まった。処方薬依存の紹介患者が急増している肥前精神医療センター(佐賀県)では、専門外来で患者の減薬治療と心理的サポートを始めている。武藤岳夫医師は「減薬の知識を持った医師を早急に増やす必要がある」と話す。
厚生労働省の責任も重大だ。処方期間の制限に加え、アルコール依存の専門病院などの力を生かし、処方薬依存患者の支援体制を早急に築くことが求められる。
訴え聞かず暴言吐く主治医
「主治医は私の顔も見ずに、『変わりはありませんか』と聞くだけで、薬を出す。『良くなった』と答えても、『ではもっと良くしましょう』と薬が増えるので、うかつに答えることもできない」
「心理士のカウンセリングで良くなったのに、新しい主治医は自分の話を全く聞こうとしない。『僕の出す薬を飲まないとカウンセリングは受けられない。オーダーを出すのは僕だから』と意見を押しつけられた」
精神科の診察で、医師の態度や診断に、不満や疑問を抱く患者は多い。ベンゾ系薬剤の長期投与など、日本の精神科医療が薬物偏重である背景には、精神科医が、患者の訴えを聞いて診断する力が不足していることがある。ある精神科医は、「もし自分に、患者の訴えをきちんと聞く技術があれば、初診から薬を出すケースは相当減るだろう」と、打ち明ける。
精神科医から暴言を浴びた、という患者も少なくない。婚約者を目の前で起こった事故で亡くし、長くPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんだ40歳代の女性は、強まる自殺願望を主治医に明かした時、「死にたいなら勝手に死ねばいい」と言われ、ショックを受けた。
現在、大学病院の精神科教授の多くは、薬物療法の専門家だ。認知行動療法などの精神療法の技術にたけた教授を増やし、患者の訴えを聞き、受け止めることのできる精神科医を育成する必要がある。それが適切な薬物療法にもつながる。
宮岡等・北里大精神科教授は、「精神科の診察は密室で行われやすく、透明化することが緊急の課題だ。まずは、診察のやり方を他の精神科医が見て議論する場をつくり、他の医師から審査を受ける制度を作るなど、改善策を考える必要がある」と話している。(医療情報部 佐藤光展)