【3月25日 AFP】ロシアのセルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相は25日、極東のクリール諸島(Kuril Islands、北方領土を含む千島列島)の軍備増強の一環として、ミサイルシステムを配備することを明らかにした。
 ショイグ国防相は国防省会合で「クリール諸島の分遣隊と軍事基地の増強計画が進んでいる。すでに今年中にバル(Bal)とバスチオン(Bastion)沿岸ミサイルシステム、および次世代無人機エレロン3(Eleron-3)が配備される」と述べた。(c)AFP

2015.8.4 06:00更新


露、北方領土の土地無償分与へ 移住促進法案 実効支配強化…領土返還交渉への悪影響必至


 【モスクワ=遠藤良介】ロシア政府が極東地域の振興策として、土地を国民向けに無償で分与する法案を準備し、北方領土にも適用する方向であることが3日までに分かった。法案は極東への移住促進を目的とし、来年1月から遊休地を希望者に1ヘクタールずつ分与する内容だ。安倍晋三政権はプーチン露大統領の年内訪日を目指しているが、北方四島が分与の対象とされた場合、現地での人口増加などを通じてロシアの実効支配が強まり、領土返還交渉に悪影響を与える可能性が出てくる。
 法案は露極東連邦管区を構成する9つの自治体の議論に付されており、極東発展省が月内にも政府に提出する。上下両院が秋の会期で可決する可能性が高い。
 同省は本紙に、「法案はロシア極東(全体)を対象としており、個別の地域に関する規定はない」と説明。極東連邦管区が事実上管轄する北方四島にも、無償の分与制度が適用されるとの認識を強く示唆した。
 現時点の条文によると、分与されるのは国や自治体に属する極東の遊休地で、ロシアの国民と個人事業者が対象。希望者が選定できる区画は、近隣居住区が人口5万人以上であれば最低10キロ、人口30万人以上であれば20キロ離れた場所であることが条件となる。

 ソ連崩壊後の法整備により、現在のロシアでは土地の私有が認められている。今回の法案は、分与された1ヘクタールが申請通りに使用されていれば、5年後に私有財産にできるとしている。
 政府はインターネット上で土地選定手続きを行えるよう準備を進めており、9月上旬にウラジオストクで行われる「東方経済フォーラム」で公表する方針だ。
 プーチン氏の年内訪日が計画される中、ロシアは北方領土の実効支配を強化する動きを鮮明にしている。
 露政府は先月、2016~25年に700億ルーブル(約1403億円)を投じる新たな「クリール諸島(千島列島と北方領土)発展計画」案を承認。インフラ整備を集中的に進め、北方領土などの人口を25%増の2万4000人とすることが盛り込まれている。
 極東サハリン(樺太)州の高官は先月末、日本が北方四島での共同事業に関心を持たないなら、「韓国その他の国の参画を検討する」と発言。政府は北方領土での経済特区創設を検討しており、第三国の資本が大規模に流入した場合、北方領土交渉が複雑化することは必至だ。

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