露骨な株バブルを目論む安倍政権に傀儡されている黒田日銀総裁と、賢明な判断を
押し通していた前白川総裁が任命した理事との激突があった模様です。 まあ、
はっきりといえることはいくら株をあの手この手でつりあげても、世界経済の低迷は如実
たちまち株価は低迷、低止まりしていずれ紙屑に成りかねないということは不変です。
以下は、何とかして株を売り逃げようとする投機家と、将来の為に資本を有効活しよう
と模索する投資家の熾烈なバトルを報じるネットニュースです。
<マイナス金利>白川総裁時就任の4人反対
毎日新聞 2月8日(月)20時9分配信
マイナス金利の導入を巡り、日銀内で激論が交わされていたことが8日、日銀が公表した金融政策決定会合の「主な意見」で明らかになった。マイナス金利は5対4の小差で決定したが、反対した4人は全員が白川方明前総裁の下で就任した審議委員。2012年に発足した安倍政権は、白川前総裁の金融政策から一層の緩和へかじを切らせようと黒田東彦総裁の起用に踏み切っており、ここに来て「黒」対「白」の構図が鮮明になってきた。
この日公表されたのはマイナス金利導入を決定した1月28、29日の会合での「主な意見」。賛成派は、新興国経済の減速懸念や原油安を背景とした金融市場の混乱に伴い「物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」とし、「金融政策の信認を保つ」ためにマイナス金利導入を主張した。一方、反対派は、マイナス金利が金融機関の収益に悪影響を与えるなどの副作用を強調。「危機時の対応策として温存すべきだ」などと導入のタイミングにも異論を示した。
今回、マイナス金利導入に反対したのは白井さゆり、石田浩二、佐藤健裕、木内登英の各審議委員。4人とも黒田総裁と考え方が微妙に違う白川前総裁時代に任命された委員だ。一方、賛成した原田泰委員と布野幸利委員は安倍晋三首相や積極緩和を主張する首相周辺のリフレ派に近い。岩田規久男副総裁も13年の日銀総裁選びの際に財務省の反対を押し切って官邸主導で人選された経緯があり、政府内では「マイナス金利は『黒田体制』でなければ実現しなかった政策だ」(首相周辺)と自賛する声が出ている。
審議委員の任期は5年。今後は、マイナス金利に反対した白井委員が3月31日、石田委員が6月29日にそれぞれ任期切れを迎える。白井委員については再任(留任)が取りざたされているが、政府内には「審議委員はリフレ派で固めたい」との意向も根強くある。今後もリフレ派の審議委員が誕生していけば、黒田総裁は安定的な支持基盤を確保できるものの、市場からは「金融政策がより過激に進んでいく危うさがある」と先行きを懸念する見方も出ている。【中井正裕】
◇キーワード・金融政策決定会合
経済や物価情勢を踏まえて金融政策を決める日銀の会合。金融政策は9人の政策委員(正副総裁3人と審議委員6人)が多数決で決める。金融政策は企業活動や人々の生活に大きく影響する。本来、そうした政策は国会の審議を経て決定されるが、金融政策は専門的な知見を必要とするほか、グローバル経済の進展によってその決定には即効性も求められる。このため、内閣が人事案を国会に提示し、国会の同意で選ばれた委員が政府から独立して決定する仕組みになっている。開催は原則年8回。会合は非公開で、決定内容は同日中に総裁が記者会見で説明する。6営業日後に「主な意見」、次回の決定会合で承認のうえ、その3営業日後に「議事要旨」、10年後に「議事録」をそれぞれ公表する。
この日公表されたのはマイナス金利導入を決定した1月28、29日の会合での「主な意見」。賛成派は、新興国経済の減速懸念や原油安を背景とした金融市場の混乱に伴い「物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している」とし、「金融政策の信認を保つ」ためにマイナス金利導入を主張した。一方、反対派は、マイナス金利が金融機関の収益に悪影響を与えるなどの副作用を強調。「危機時の対応策として温存すべきだ」などと導入のタイミングにも異論を示した。
今回、マイナス金利導入に反対したのは白井さゆり、石田浩二、佐藤健裕、木内登英の各審議委員。4人とも黒田総裁と考え方が微妙に違う白川前総裁時代に任命された委員だ。一方、賛成した原田泰委員と布野幸利委員は安倍晋三首相や積極緩和を主張する首相周辺のリフレ派に近い。岩田規久男副総裁も13年の日銀総裁選びの際に財務省の反対を押し切って官邸主導で人選された経緯があり、政府内では「マイナス金利は『黒田体制』でなければ実現しなかった政策だ」(首相周辺)と自賛する声が出ている。
審議委員の任期は5年。今後は、マイナス金利に反対した白井委員が3月31日、石田委員が6月29日にそれぞれ任期切れを迎える。白井委員については再任(留任)が取りざたされているが、政府内には「審議委員はリフレ派で固めたい」との意向も根強くある。今後もリフレ派の審議委員が誕生していけば、黒田総裁は安定的な支持基盤を確保できるものの、市場からは「金融政策がより過激に進んでいく危うさがある」と先行きを懸念する見方も出ている。【中井正裕】
◇キーワード・金融政策決定会合
経済や物価情勢を踏まえて金融政策を決める日銀の会合。金融政策は9人の政策委員(正副総裁3人と審議委員6人)が多数決で決める。金融政策は企業活動や人々の生活に大きく影響する。本来、そうした政策は国会の審議を経て決定されるが、金融政策は専門的な知見を必要とするほか、グローバル経済の進展によってその決定には即効性も求められる。このため、内閣が人事案を国会に提示し、国会の同意で選ばれた委員が政府から独立して決定する仕組みになっている。開催は原則年8回。会合は非公開で、決定内容は同日中に総裁が記者会見で説明する。6営業日後に「主な意見」、次回の決定会合で承認のうえ、その3営業日後に「議事要旨」、10年後に「議事録」をそれぞれ公表する。
【関連記事】
債券化する株式、マイナス金利で買いか=重見吉徳氏
[東京 8日] - 日銀はマイナス金利を導入した。株は買いか売りか。筆者の分析では、本稿で説明するように、債券に比べて相対的には「買い」である。
とはいえ、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が、実体経済や企業業績に与える好影響はほとんどないと考えている。その理由をいくつか挙げてみる。
国内経済を考えると、サービス業については、まずは金融機関の業績も気がかりなところだが、その他に目を転じると、すでに労働市場、中でもオフィス、ホテル、旅客輸送などは「完全雇用」の状態にある。円安で海外からの観光客がさらに増えるとしても、それにすぐに対応できるような容量がない。
一方の製造業については、在庫の積み上がりもあって未稼働が残っているが、その要因は国内主体の耐久消費財に対する需要の構造的な低迷と一巡の両方、そして海外景気の弱さによる外需低迷だろう。金融緩和はこれらに対処するためのものではない。
また、問題の根幹の1つは中国にある。日銀の金融緩和によって、中国の過剰な生産能力を一時的に埋められるわけではない。むしろ逆に、円安・ユーロ安は、コインの表と裏を考えれば、ドル高・人民元高であり、米国や中国の生産をクラウドアウトして(締め出して)しまう。
皮肉にも、円安・人民元高が投資・輸出主導の「古い中国」をさらに窮地に追い込むことで、消費やサービスへの構造転換を促し「新しい中国」の実現を引き寄せるかもしれないが、それは同国で「創造的破壊」の厳しい状況が続くことを意味する。
2014年10月末の量的・質的金融緩和第2弾(QQE2)以降に日本株が上がったのも、最近において日本株がQQE2前の水準まで戻ったのも、どちらもQQE2のためである。円安により株価は短期的に上昇するが、水面下では米中景気を窮地に追いやっている。そして、やがて中国の景気鈍化が目に見えるようになってくると、株価が下がる。
では、なぜマイナス金利で、株は買いなのか。
今後の株式市場の動向について、筆者が考えているのは、実体経済の低成長に伴う「株式の債券化」である。マイナス金利の導入は、「株式の債券化」を促進する可能性がある。そして、この見立てが正しければ、株式のバリュエーションは上昇する。
言い換えれば、株式が、債券のように安定的な金融資産に近づけば近づくほど、今まで考えられてきたよりもリスクが低くなるわけだから、現在の水準よりも買われることになる(すなわちバリュエーションは上昇する)。
その根拠をもう少し詳しく述べよう。労働力人口の鈍化や資本蓄積によって低成長の見通しが強まると、以下のことが考えられる。
●企業は投資・収益機会を見いだせず、企業による投資は鈍化する。結果的に、企業がリスクを取る機会が減り、金融機関や投資家が拠出した負債や資本がリスクにさらされる機会も減る。
●経済のパイ(規模)の拡大が鈍化する中で、企業は収益の伸びを確保すべく、合併・買収(M&A)を行う。結果的に、企業間の競争が減る。
●企業の投資・収益機会が減ったり、情報技術(IT)など投資のソフト化が進んだりすることで、企業は配当や自社株買いを通じ、資本を株主に返還する。結果的に、世界的に見て、株式(エクイティ)の供給が減る。
これらにより、次のことが予想される。
●企業によるリスクテイクと企業間の競争が減り、利益は安定する(大きく成長することもない)。
●利益の安定と株主還元(配当や自社株買い)の増加で、株式投資がもたらすキャッシュフローは安定する。
●株式(エクイティ)の供給が減り、株式への超過需要が発生する。
総合すると、1)株式は債券の色彩を帯び、日々の価格変動を含むリスクは低下する、2)株式のリスクが低下するならば株式の期待リターンも低下する、と考えられる。
<株式の債券化が進み、実体経済の低成長は自己強化される>
ここで期待リターンについて簡単におさらいしておこう。
債券の期待リターンは利回りである(便宜的に、利息/債券価格と表す)。一方で、株式の期待リターンは、益回り(予想利益/株価)に相当する。この益回りの逆数は、株価収益率(PER=株価/予想利益)である。
前述したように、「株式のリスクが低下することで、株式の期待リターン(益回り)も低下する」と、その逆数である株式のバリュエーション(PER)は上昇することが確認できる。
低成長が招く資本の還元や利益の安定から生じる「株式の債券化」とは、株式のリスクが低下し(債券のリスクに近づき)、リスクの低下に合わせるように、株式の期待リターンも低下するような状態である。株式は(今まで考えられてきたよりもリスクが低くなるわけだから)現在の水準よりも買われることになる。それは、バリュエーションの上昇を示唆する。
実体経済の低成長と「株式の債券化」という将来を見通すと、現在の株式のバリュエーションは、少なくとも債券と比較すれば、相対的に割安にとどまっている可能性がある。米国市場を見ると、S&P500指数の益回りと10年国債利回りは過去に比べれば、かい離が広がっている(益回りが国債利回りを大きく上回っている)。
仮に、現在が「債券バブルのために金利が低過ぎる」と考えれば、債券は売られ、金利が上昇することで、株式益回りと債券利回りのかい離は調整されるだろう。一方で、低成長と低インフレ率が低金利を正当化するならば、債券が売られるのではなく、反対に株式が買われ、株式のバリュエーションが上昇する(益回り=期待リターンは低下する)ことで、両者のかい離は調整されると考えられる。
実体経済の低成長が期待される中でのPERの上昇は一見するとバブルのようにも思えるが、低成長期待を反映する株式(エクイティ)の減少と益回り(期待リターン)の低下と考えれば、バブルとは真逆の現象と言える。
マイナス金利の導入による、金融機関の競争激化と融資金利の低下は、世界の企業で見られるトレンドと同様に、企業の負債調達によるM&Aや株主還元(配当や自社株買い)を下支えし、「株式の債券化」が進むとともに、実体経済の低成長は自己強化されるだろう。
以上は、筆者の非常に大胆な予想である。この予想が正しいとすれば、株式は債券に比べて相対的には「買い」と考えられる。またこのとき、株式と金利の相関関係は長年続いた「業績相場」(金利上昇・株上昇もしくは金利低下・株下落)から、再び1990年代までに見られたような「金融相場」(金利上昇・株下落もしくは金利低下・株上昇)に戻る可能性がある。
*重見吉徳氏は、J.P.モルガン・アセット・マネジメントの日本におけるグローバル・マーケット・ストラテジストで、エグゼクティブ・ディレクター。大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済事務および外国債券・デリバティブ等の投資業務に従事。その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年3月より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
最終更新:2月8日(月)21時32分
数日で剥落したマイナス金利効果、待ち受ける副作用への懸念
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