米国のエボラ感染対応は失態に次ぐ失態の連鎖でした。 米国内ではその大失態に糾弾の嵐が
吹き荒れている模様です。
渡航歴を申し出たダンカン氏に対する誤診は、間違った治療によって患者を死亡させ
さらには2名の医療従事者の感染を引き起しました。それに加えて感染防止対策の不備も
露顕し、更に患者死亡から8日にしてCDCの二次感染に関する安全宣言の拙速さ、そして
発熱していた看護師に対する移動許可後に二次感染が発覚したのは最低の結果でした。
今回の様に人の命は勿論事と次第によっては疫病などで時として国家の命運を預かる医療
に過誤は許されるのかどうかは、大いに議論されるべきですがあってはならない事態である事
は不変でしょう。
そして問われなければならないのはそれは過失であるのか、あるいは怠慢である
のか、はたまた悪意在る犯罪であるのかはご専門家に判断頂くのが賢明と思われます。
大切な事は過ぎてしまった過去の事は致し方の無いことではありますが、やはり問題は
事実を事実と認め再発の防止や被害者への保障や賠償が真摯になされる事では無いので
しょうか。
その為にはやはり失態は糾弾され、責任在る者は糾弾されその職はより適任な人物に
任せるべきである事は当然です。
にも関わらず以下は、さらなる感染リスクが高まると言う口実を構えて、旧態依然とした
医療業界の既得権益を擁護する悪質なネットコラムです 。
コラム:エボラ感染リスクを高める「過失の糾弾」
Joan Bregstein
[27日 ロイター] - エボラ出血熱感染をめぐる相次ぐ過失への批判が、米国で大きく報道されている。エボラの脅威に対する対応について大きな混乱をきたしていると、世論が感じているだろうことは想像に難くない。
米国内で初めてエボラ熱と診断されたリベリア人のトーマス・エリック・ダンカンさんは、最初に病院を訪れたときに感染の疑いがあると認定されて隔離されるべきだった。また、病院の職員は個人用防護具(PPE)を着用すべきだったし、米疾病対策センター(CDC)は直ちに関与すべきだった。
こうした適切な措置が取られていたなら、診断は迅速に行われ、ダンカンさんも適切な治療を受けることができただろう。
言うまでもなく、それは起こらなかった。そして結果的に、批判の矛先は主に病院に向けられた。
だが責任を糾弾することは裏目に出る可能性があり、さらなる過失を招くことになりかねない。
過失が隠ぺいされた場合、医療にどれだけ悪影響が及ぶかを考えてみてほしい。15年前と比べて医療風土は変化し、透明性が奨励されている。特に過失に対する透明性は、質の高い医療を提供するには不可欠だ。過失を認めることが再発防止につながるからだ。
米医学研究所(IOM)は1991年、報告書「To Err is Human: Building a Safer Health System(医療ミスは人災:より安全な医療システムの構築)」を公表した。同報告書によると、米国では毎年、入院患者約8万8000人が医療ミスで命を落としているとみられている。
当時、同報告書は医学界の多くに衝撃を与え、こうした問題に対処する動きへとつながった。それまで医療ミスは公にされないことが当たり前で、その責任はたいてい医師個人にあるとされていた。
しかしこのIOM報告書は、責任は医師個人にあるのではなく、システム自体にあるとした。例えば、薬剤投与ミスはそれを処方した医師個人の責任ではなく、薬剤師や看護師による予備チェックを欠いたシステムの責任だとする。
同報告書はまた、懲罰的ではない方法で、医療従事者にミスの報告を義務付けて専門家にそれを分析させるようなメカニズムの構築を求めていた。
その結果、全米の病院に医療従事者が自身のミスを報告する制度が確立し、根本原因の分析がなされるようになった。医療ミスには多くの要因が考えられるだろうが、根本となる明らかな原因を特定できれば、それを除去することで再発を防止できるようになる。
これはあまりに劇的な変化であったため、医療従事者がミスの報告はキャリアの致命傷とはならないということを信じるには長い時間がかかった。医療ミスはシステム主導で引き起こされ、根本原因の分析によってのみプラスの変化をもたらすことができるという考えが受け入れられるには10年以上を要した。
エボラについても、根本原因の分析が今後のミスを回避するうえで鍵となるだろう。だがここでも、ミスを認めても大丈夫だという風土が必要だ。
しかしながら、こうした努力も執拗な「責任追及」によって台無しになる可能性がある。個人による過失を大々的に報じることは透明性の証左としてみなされるかもしれない。だがそれは、ミスの隠ぺいという正反対の方向へとつながりかねない。
過失のすべてを知ることなしには、エボラとの闘いは厳しくなる一方だろう。これまで以上に、医療従事者による過失の自己報告を奨励する必要がある。過ちを責めてはならない。
*筆者は米コロンビア大学メディカルセンターの小児科准教授。専門は小児科救急医療で、病院での患者の安全に取り組んでいる。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています